県議会議長ポストのたらいまわし

山梨県議会議長が半年で交代した。

議長ポスト争いで頭に血が上り、予算審議をすっぽかしてから僅か1年半。突貫工事で議会基本条例を仕上げて半年余。相も変わらずの体たらく。嘆かわしい。

 

山梨県議会といえば、こちらに住まいして間もなく、親しくなった県庁幹部から、議会質問は県庁職員が作っていると聞かされてびっくり仰天。その後も何人かの現職・OBに訊いてみたが、事実のようだ。何でも、担当職員が議員先生にビッタリ張り付いているとか。これで月77万円の議員報酬、同じく月23万円の政務活動費、計月100万円が貰えるのならいいねえ(政務活動費は会派に月一人当たり5万円)。

 

これも越してきて間もなく、地元紙に県会の質疑の様子が載るが、妙に「キレイ」なのだ。もっとドロドロした、脱線気味の質問があってもいいのでは、と疑問に思っていたが、それならと納得した。シナリオができているのだ(ほんの一部の党派を除いて)。ならば極端な話、当選したばかりの1年生議員でも議長職が務まるだろう。

 

それほどに軽い県議会議長ポストだから、たらいまわしすることに、議会運営上の不安はないということだ。一度だけ県議会の議長室に足を踏み入れたことがあるが、何よりも感動したのがズズズズズズーと壁に掲げられた歴代議長の写真だ。もうはみ出しているという様だ。せっかくだから、偉人館のスペースを半分くらい提供してもらって掲示してはどうかねえ。

 

さて本題。この軽さの程度は全国的にみていかほどのものか調査することにした。

ネットで「県議会議長ポストのたらいまわし度ランキング」なんてものがないか探したが、さすがにない。

 

仕方がないから、ネットを使って本邦初の調査をかけることにした。

「〇〇県議会議長 歴代」の〇〇に県名を入れて検索すると、「歴代議長・副議長一覧」が先頭で引っかかってくる場合が少なくない。もちろん、そういうところばかりではない。山梨県も歴代議長は冷たく扱われているようで、お誂え向きのデータは取れず、多少推定が入っている。

 

以下、分析結果。

地方自治法が制定された昭和22年から最近までの約70年間のデータを、把握できる範囲で取りまとめた。集計できた都道府県数は33。任期一年で交代していれば「戦後初代」から数えて70代となる。実際60~70代という都道府県が目立つ。平均は57代。

 

そして、めでたいことに、山梨県は83代とトップに輝いた。これも戦後営々として公平の原則に立ってポストをたらいまわししてきた議員諸侯の努力の賜物。これからも、県民の期待に応えて、「誰でもできる議長職」のいっそうの軽量化に務めていただきたい。

 

表 地方自治法制定(昭22年)以降の議長の「代数」

※「やっつけ仕事」です。ご容赦を。

都道府県

代数

北海道

30

宮城県

41

福島県

39

茨城県

63

栃木県

66

埼玉県

72

千葉県

71

東京都

43

神奈川県

70

新潟県

66

石川県

70

福井県

63

山梨県

83

長野県

58

岐阜県

71

静岡県

70

愛知県

63

三重県

69

滋賀県

67

京都府

41

大阪府

68

鳥取県

45

島根県

48

岡山県

68

広島県

31

徳島県

55

愛媛県

70

高知県

65

福岡県

49

長崎県

37

熊本県

57

大分県

47

鹿児島県

37

合計

1893

平均

57.4